大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

秋田地方裁判所 昭和56年(わ)209号 判決 1982年2月08日

裁判所書記官

船木繁

本店所在地

秋田県能代市落合字上谷地四八番地の四

日の出運輸企業株式会社

(右代表者代表取締役嶋田康子)

本籍

秋田県能代市向能代字平影野七六番地

住居

秋田市土崎港西五丁目二番四号

会社役員

嶋田康子

昭和二〇年六月二六日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中山純一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社日の出運輸企業株式会社を罰金一、二〇〇万円に

被告人嶋田康子を懲役一〇月に

それぞれ処する。

被告人嶋田康子に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社日の出運輸企業株式会社は、秋田県能代市落合字上谷地四八番地の四に本店を置き、貨物自動車運送業を営むもの、被告人嶋田康子は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人嶋田康子は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、雑収入を除外するなどの行為により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が四六、八二七、八一八円(別紙1修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が一七、七〇二、七〇〇円であるにもかかわらず、同五四年二月二八日、同市盤若町一番一二号所在能代税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五、〇四九、六一五円で、これに対する法人税額が五、〇一六、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一二、六八五、九〇〇円(税額の算定は別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が六四、八八六、一二二円(別紙3修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が二四、一四五、七〇〇円であるにもかかわらず、同五五年二月二九日、前記能代税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一九、五八四、八一七円で、これに対する法人税額が六、〇四四、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額と申告税額との差額一八、一〇〇、九〇〇円(税額の算定は別紙4ほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が四六、八九三、八二一円(別紙5修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が一六、九四七、二〇〇円であるにもかかわらず、同五六年二月二八日前記能代税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一、四四二、一九三円で、これに対する法人税額が六、七八〇、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一〇、一六六、三〇〇円(税額の算定は別紙6ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人嶋田康子の当公判廷における供述

一  被告人嶋田康子の検察官に対する供述調書三通

一  被告人嶋田康子の大蔵事務官に対する質問てん末書二七通

一  嶋田孝一、中野正、丸茂正明および曽我次男の検察官に対する各供述調書

一  嶋田孝一(四通)、吉田實(三通)、西村勇、中野正、丸茂正明、小泉隆勝および朴成洙の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  丸茂正明、佐藤全孝および金谷三男各作成の各上申書

一  秋田北税務署長作成の「国税の納付状況照会に対する回答」と題する書面二通

一  能代市長および秋田市財政部収税課長各作成の「地方税の納付状況照会に対する回答」と題する書面四通

一  大蔵事務官作成の架空車輌の減価償却費等調査書、架空給料手当調査書、架空車輌の修正処理調査書、雑収入調査書、簿外預貯金等調査書、貸倒損失調査書、交際費等の損金不算入額調査書、手形取立調査書、受取手形等調査書、車輌代相当貸付金調査書、曽我次男との取引調査書、貸付金調査書、個人預金等調査書、個人借入金調査書、役員報酬及び配当金調査書、租税公課調査書、社長勘定調査書、簿外損益計算書、簿外貸借対照表および脱税額計算書説明資料

判示第一の事実について

一  被告人嶋田康子作成の昭和五六年六月二四日付上申書

一  大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(検甲64号)、脱税額計算書(検甲67号)、法人税修正確定申告書謄本(検甲71号)および法人税納付領収書謄本(検甲74号)

一  押収してある法人税確定申告書一冊(昭和五六年押第四六号符号一)

判示第二の事実について

一  被告人嶋田康子作成の昭和五六年四月一八日付上申書

一  大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(検甲65号)、脱税額計算書(検甲68号)、法人税修正確定申告書謄本(検甲75号)

一  押収してある法人税確定申告書一冊(昭和五六年押第四六号符号二)

判示第三の事実について

一  被告人嶋田康子作成の昭和五六年四月一五日付上申書

一  大蔵事務官作成の未納事業税額計算書(検甲66号)、脱税額計算書(検甲69号)、法人税額修正確定申告書謄本(検甲73号)および法人税納付領収書謄本(検甲76号)

一  押収してある法人税確定申告書一冊(昭和五六年押第四六号符号三)

(法令の適用)

被告会社日の出運輸企業株式会社の判示各所為はいずれも法人税法一五九条、一六四条に該当し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一、二〇〇万円に処し、被告人嶋田康子の判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人嶋田康子を懲役一〇月に処し、被告人嶋田康子に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 山本武久)

別紙1

修正損益計算書

自昭和53年1月1日

至昭和53年12月31日

<省略>

<省略>

別紙2

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自昭和54年1月1日

至昭和54年12月31日

<省略>

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙5

修正損益計算書

自昭和55年1月1日

至昭和55年12月31日

<省略>

<省略>

別紙6

ほ脱税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例